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リレー小説「僕⇒俺⇒私⇒そして僕(仮)」


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// 僕⇒俺⇒私⇒そして僕(仮) 第一話
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// 執筆者 たつにい
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「俺、本気で好きなヤツが出来ちまった……みたいなんだ」

 僕は友人の何気ないその一言に、ズキンと
心臓をえぐられるような胸の痛みを覚えた。




// 俺→僕


 学校から自宅へと結構歩いた途中、真新しい木造の日よけが
落ちかけた夕日に赤く照らされ、少し寂しく感じる無人のバス停。

 くねった坂道の途中にぽっつりと在る、そこの周りには
雑草が生えまくり、さまざまな虫の鳴き声も響いている。

 そこが俺たちのダベり場所だ。

 自転車を脇に置き、待合の椅子に二人で座りながら、
俺は親友に、惚れた女子のことを打ち明けていた。

 親友は端正な顔立ちを何故か前髪で隠している。
今は学ランを着てるから、こいつが男だってわかるが、
もし仮にこいつが女物の服で着飾ったら、どうだろう?

 俺は付き合いが長いからこいつだってわかるだろうケド、
知らない他人が見たら、女にしか見えないのではないか。

「そうなんだ。相手はどんな子なの?」

 親友は聞き上手だ。こうやって自然に話を促してくれるから
話しにくい話題でも、すらすらと話し進めることが出来る。

「俺、ジャンケンで負けて図書委員やってるだろ?
 そんとき結構、本を借りに来る子なんだ」

「その子、読書家なんだね。どんな本を借りに来るの?」

「よくわかんねえケド、裁縫関係の専門書みたいなヤツ。
 実際に裁縫道具を持ち歩いてるみたいで、昨日の委員のとき
 ここのボタンを縫ってもらったんだ」

 俺は学ランの右腕側に付いている飾りボタンを見せた。
二つ付いているボタンの片方の糸の色が違うのが分かる。

 その糸を見るたびに思い出す。

 あの温和な笑顔と髪から香る柔らかなトリートメントの香り。
気が付いたら、俺はあの子の事しか考えられなくなっていた。

「でも、名前もクラスも知らねえし、どうしたらいいか
 わかんねえんだ」

「ええっと、図書カードは見た?」

「そうか! その手があったか!」

 あの子が借りた本の図書カードを見れば名前もクラスも分かる。
あの子のことで頭がいっぱいだった俺は、そんな単純なことすら
思い浮かばなかった。

 やっぱりこいつに相談して良かった。

 こいつはとにかく優しいし、聞き上手だし、口も堅い。
おとなしい性格だから交友関係は狭いが、その分、
一人一人の友達を大切にしてくれる。

 だからこそ俺にとって、かけがえのない親友。

 俺の気分が晴れやかになった頃、こいつのケータイが鳴った。

「あ、メール。……ゴメン、僕、そろそろ行かないと」

「ああ。今日はありがとな。また今度、相談してもいいか?」

「うん、モチロン良いよ。じゃあ今日はこれでバイバイ」

「おう。じゃあ、またな!」

 そしてこいつは、何故か家とは逆の方角の、街のほうへと
自転車を走らせていった。




// 私⇒僕


 街の駅裏から少し外れた、小さいけど活気にあふれる電気街。
そこは、ここいらに住んでいるオタクたちの集いの場でもある。

 一般向けの大型店には、まず置いていないような
マニア向けのアイテムも、ここなら比較的、容易に手に入る。

 私のような生粋のコスプレイヤーにとっても、
非常に居心地の良い環境なので、ちょくちょく来ている。

 でも最近はレイヤーアイテムをそろえる他にも、
別の目的で利用することが多くなった。

 今、私がいるのは、ごひいきにしてくれるコスプレ専門店。
私くらいのレイヤーになると、無料でドレッシングルームを
使わせてくれる、サービス精神旺盛のお店。

 実はさっき、そのドレッシングルームを借りて、
デオドラントスプレーを体中に吹きかけ、
ほんの少し香水も付けてきたばかりである。

 今は店の外の街頭の下に居るけど、外の外気で
香水の香りが薄れてしまったのではないかと心配している。
でも、香水の付けすぎでクサイなんて思われるのもイヤだ。

 メールの返信が着てから、それなりの時間が経った。
いつ待ち人が到着しても、おかしくは無い。

 きちんとトイレは済ませてきたけど、会っている途中で
トイレに行きたくなったらどうしよう……。

 わざわざ携帯用の歯磨きセットをコンビニで買って、
ドレッシングルームで磨いたけど、口臭が気になる。
まぁ、息がクサイなんて一度たりとも言われたこと無いけど。

 服装は私服。地味すぎず派手すぎず、無難だけど
ちょっとだけオシャレに見える今時のファッション。

 おさげを解いた髪の毛も入念にブラッシングしたし、
外の外気で髪が乱れないようにオシャレ帽子もかぶってる。

 姉直伝の薄化粧メイクアップテクで、日夜スキンケアしてる
ベストコンディションの素肌を引き立たせるようにもした。

 バッグに入っている同人誌……気に入ってくれると良いな。

 そんなふうにモヤモヤと考えているうちに、遠くから
コチラに向かってくる、ひとつの自転車が見えてきた。

 本当は一目で気が付いたけど、わざと気付いていないフリを
しながら、あさっての方向を向いて、待ち人の到着を待った。

「ごめん。またせちゃったよね」

「ううん。私のほうこそ急に呼び出しちゃってゴメンね」

 お互いに軽く謝りながらの挨拶。その間、待ち人の彼は
駐輪スペースに自転車を丁寧に置いている。

 そして自転車のカゴから小さな缶を取り出した。

「寒かったでしょ? はいココア」

「わぁ! ありがとう。嬉しい」

 買ってからそれなりに時間がたっているのか、
冷めてすこしぬるくなっている缶のココア。

 何気ない世間話で私が猫舌なのを教えた記憶があるから、
それをちゃんと覚えていて、あえて冷ましてくれたのだろう。

 彼はそういった気配りをごくごく当たり前に出来る人だ。
だから、いつの間にか好きになってしまっていた。

 そう。彼は私の恋人というワケではない。
私が一方的に片思いしているだけ……。

 だからこうやって会うには、こじ付けでも良いから
なにかしらの理由が必要不可欠。

 私の権限でドレッシングルームに彼を招きいれ、
バッグの中から一冊の同人誌を取り出す。

「はい、琴桜先生が今度出す新刊。
 こっそり先発でもらってきたよ」

 ちなみに琴桜先生とはオリジナルのボーイズラヴ同人誌を
メインで同人活動を行っている、私のオタク知人の女性で、
セミプロなので一応、先生を付けている。

 もちろん、琴桜(ことさくら)という名前はハンドルネーム。

「すごい! これ読ませてもらっても良いの?」

「読ませるも何も、それプレゼントするよ」

「え、でも僕、既に何冊ももらってるし、せめて代金払うよ」

「いいのいいの。私だってタダでもらってきた本なんだから、
 お金なんて払わなくてもいいの」

 ホントは無理を言って琴桜先生から買った新刊だった。
しかも、読んだ感想を話し合うための自分用を含めた2冊。

 たとえ交友のある知人とはいえ、仮にもセミプロの先生から
タダで新刊をもらうことは、私には出来ない。

 琴桜先生は優しいお姉さんだから、多分、私が言えば本当に
タダで新刊を2冊もらえてしまうかもしれないし……。

 気分を落ち着かせるために、さっきもらった缶のココアを
一口飲むと、程よい甘みとやわらかい暖かさが喉を潤していく。

 猫舌の私にとって適温であり、とても美味しく飲みやすい。

「自転車で来たんだから喉、渇いてるでしょ? 一口飲む?」

 さりげなく私が口をつけたココアを差し出しながら、
アプローチを仕掛けてみた。

「あー、うん。実は僕、ジュース飲みながら来たから大丈夫」

 間接キッス作戦、失敗……。相変わらず鈍感なんだから。

 でも、くやしいけど、そういったところも含めて
私は彼のことが好きだ。

 私は無理に作戦を押さず、話題を変えることにした。

 なにしろここはドレッシングルーム。趣味と利便性を兼ねた
私たちだけの絶好の話題がある。

「それよりさ! 新作コス衣装、出来たよ。
 ジャーン! TOAのアイニスたんコス服ー!」

「これは……相変わらず凄いよ。まるでゲームから
 本物の衣装を持ってきた感じの出来栄えだね!」

 自分でも会心の出来栄えだという自信がある。

 なんせ彼に着せるコス衣装だ。わざわざ学校の図書室で
本格的な裁縫関係の専門書を借りたり、書店で中世時代の
衣装の資料集を買ったりして、日夜研究しているんだから。

「ねぇ、早速ツインテにして、着てみてよ。
 ……それとも、私が着せてあげようか?」

「じ、自分で着れるから大丈夫だよっ!」

 男子に女キャラのコス衣装を着せる。

 普通ならドン引きされてもおかしくないのに、
彼は、そんな私の特殊な趣味の良き理解者だ。

 嫌な顔一つせず、むしろ乗り気で着てくれる。

 しかも彼は、いわゆる「男の娘」と言っても
誰もが納得するような童顔の美少女顔をしている。

 だから女キャラのコス衣装がとてもよく似合う。

 彼と私のちょっと特殊なひと時が過ぎていく。
その間、私は彼にさりげないアプローチを続けた。

 女である私は自分から告白するというアプローチなどしない。
さりげなく好意や隙を見せて誘い、相手を自分に惚れさせる。

 でも鈍感な彼は、そんな私のアプローチに気付いてくれない。

 だけど私は諦めない。なぜならそうやって生きてきたから。

 「初恋は実らない」って言うけれど、彼は私のことが嫌いな
わけではないと思う。だったらチャンスはいくらでも作れる。

 今日は相変わらずの鈍感さに成果無しだったけど、
いつか、彼の隣を堂々と歩けるように、私がんばる!




// 僕⇒俺


『俺、本気で好きなヤツが出来ちまった……みたいなんだ』

 電気もつけていない、真っ暗な自室のベッドに座ると、
先ほどの友人の言葉による、胸の痛みが蘇ってくる。

 レイヤーのオタ友と一緒にいた時は気がまぎれていたけど、
僕一人になると、もはや限界だった。

 切ない。

 この切ない想いが、ちょっとノーマルでは
ないということを、僕は痛いほど理解していた。

 でも理屈じゃない。好きなんだ。その友人のことが……。

 こんなことは誰にも言えない。確かに僕は女みたいな顔を
しているけど、れっきとした男だし、もちろん友人も男だ。

 友人に僕の気持ちを理解してもらうつもりなんて無い。
だって絶対、迷惑だと思う。これは恋愛感情なのだから。

 友人は可愛い女子や美人の前だとあがってしまう。

 つまりは女子を過剰に意識している証拠であり、
僕とは違う、正常な男子なのだと分かってしまう。

 友人には、今までお付き合いしたという彼女はいない。

 でも、彼は女子から告白こそされないものの結構モテるし、
彼から告白すればカップル成立の確立は非常に高いといえる。

 ……本来なら、友人として心から応援すべきだと思う。
でも、僕の心の中にどす黒い影が落ちる。

 上っ面では応援できる。でも心からの応援が出来ない。
それが、僕の親友と言ってくれる彼に対する罪悪感となる。

 僕はデスクのスタンドライトを点灯し、バッグをもって
デスクに座った。そしてバッグの中から、さっきもらった
琴桜先生の新刊同人誌を取り出す。

 線の細い美少年同士が絡み合った表紙。一目見ただけで、
どちらが「受け」で、どちらが「攻め」なのかが分かる。

 だから僕は脳内で「受け」の男子を僕に置き換え、
「攻め」の男子を彼に置き換えてからページを開いた。

 線の細い「攻め」の美少年の体が、彼の程よく
筋肉のついた理想的な体格になり、長くウェーブが
かかった髪の毛は短髪になり整髪剤で整えられる。

 そしてデザインフレームのメガネはTOAのジェリド大佐が
かけているようなノンフレームのインテリメガネに変わる。
実は僕の友人がかけている、このメガネには度が入っておらず、
彼なりの、ちょっとしたオシャレが目的のアイテムである。

 最後に僕が、ちょっと弱弱しい雰囲気の美少年になりきり、
その美少年の視点で感情移入しながら、読み進めるだけ。

 これだけは誰にも邪魔されない、僕だけの時間。
ちょっと変な僕に許された唯一の恋心。

 思えはこの同人誌を僕にプレゼントしてくれた、
レイヤーのオタ友にも、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

 態度やしぐさに時折見せる、僕に対する好意……。
僕はそれを鈍感なフリをして受け流している。

 彼女は確かに魅力的だ。趣味も合うし性格も良い。
美人とも可愛いともいえるし、向上心も高く努力家。

 彼女のような女子を恋人に選べば、
間違いなく幸せになれると思う。

 でも、僕が友人に感じるような
胸のときめきを感じることは無い。

 友人の彼はまだ恋人が出来た訳ではない。
だから僕も意地になっているのだろう。

 彼に恋人が出来るまでは、自分もその想いには答えない。

 この世に絶対なんて無い。確かに彼が好きな子に告白すれば、
高い確率でカップル成立だろうケド、絶対ではない。

 むしろフられた時、あくまでも友人として慰めてあげたい。

 でも、めでたくカップル成立したのなら、僕も彼のことは
きっぱり諦めて、彼女の想いに答えるのも悪くないと思う。

 それまでは、僕は誰にもいえない僕だけの恋心を
胸に秘めながら、今のひと時に溺れているつもりだ。

 僕だけの妄想の夜が過ぎていく。




// 私→俺


 翌日、授業を終えた私は借りていた本を
返却するため図書室へと向かった。

 学校での私は、あえて地味な格好をしている。

 自慢のサラつや黒髪ロングの髪をヘアゴムでおさげにし、
顔を隠すように前髪を下ろし、その顔もすっぴんのまま。

 クラスメートとも最低限の交流に留め、
ただのおとなしい一般人を装っている。

 私みたいなレイヤーまでやってるオタクは、
一部の一般人から見れば、気持ち悪いだけだそうだ。

 何の関係も無い他人を不快にさせるのも、
自分が不快に見られるのも好ましくない。

 上っ面だけの付き合いなら一般人を装える。
でも深い付き合いになればボロが出る。

 地味にしていれば変な男に声をかけられることも無い。
最低限の交流のみでクラスメートに接していれば、
一般人たちによる遊びに誘われることも無い。

 まぁ誘われても断るけどね。私はそんなに暇じゃない。

 スタイルを保つためにジョギングやエクササイズを
欠かしたことはないし、スキンケアやヘアケアにも
手間と時間とお金をかけ、それを継続している。

 アニメ等の二次元キャラは問答無用で美形キャラだ。
それをトレースするからにはコス衣装だけではなく、
己自身の美しさも磨く必要があると私は思っている。

 図書室に入ると、あの静まりかえった雰囲気に包まれる。

(あ、今日もカイ大佐だ……)

 長身の短髪に、まるでTOAのジェリド大佐が
かけているようなインテリメガネのイケメン図書委員。

 図書委員なのに、何故かTOAのカイみたいな
程よく鍛え上げられた理想的なソフトマッチョ体格だ。

 自主的に鍛えなければ、あんな体格にはなれない。
日本人特有の黒髪だけど整髪剤で整えられた短髪の
髪型もちょっとカイっぽい感じがする。

 だから心の中でこっそり「カイ大佐」と呼んでいる。

 ちなみにこのカイ大佐は、私が惚れている彼の
ボーイズラヴ的な萌え要素を完全に網羅している。

 彼は「受け」のキャラよりも「攻め」のキャラに萌え、
その趣味嗜好にもこだわりがある。

 そんな彼の萌え要素を網羅した彼をモデルに、
琴桜先生に同人誌を描いてもらえば、
絶対に喜んでもらえるに決まっている。

 レイヤーのサガなのか、常にデジカメとついでに裁縫道具を
持ち歩いてるけど、いきなり「写真を撮らせてください」と
話しかけても、単なる怪しい人でしかない。

 でも先日、常に裁縫道具を持ち歩いているのが幸いし、
ちょっとしたコンタクトを取ることに成功している。

 彼の学ランの右腕についてる飾りボタンが
取れかかっていたのを目ざとく発見し、それを話題に
声をかけ、チョチョイと縫い直してあげたのだ。

 写真を撮っても違和感を感じない程度の
浅い交友関係まで持っていければラッキー。

 ダメでも失うものは何も無い。

 私は分厚い裁縫の専門書を抱えながらカイ大佐に近づていく。
向こうもこちらに気が付いたみたいだ。

「せ、せっ、せっ……先日はっ! コレっ!
 ありザシゥ……ありがとうごジャ……ございましたっ!」

 カイ大佐は顔を真っ赤にし、カチコチに体をこわばらせ、
カミカミ言葉で右腕の飾りボタンを指差しながら言った。

 先日のときは普通だったのに、今日は明らかにおかしい。

「あ、うん。どういたしまして」

 もしかして女子が苦手な体質なのかなと思案する。
たしかにそれは、今の彼によく当てはまると思った。

 でも、よくよく考えてみると、私はこういった
反応をする男子を、結構知っていることを思い出した。

 レイヤー時の私は、はっきり言って男子にモテる。
まぁ、一般人ではなくイベントに来るオタ男子にだけどね。

 イベント会場でいきなり一目惚れされて、しかも
その日のうちに告白してくる男子の反応がまさにそれだ。

 まぁ、会ったその日に告白されても怖いだけだから、
そういった男子に告白されたら、やんわりと断るし、
そもそも告白されないように、一定の距離をとっている。

 でも、それはあくまでもレイヤーの時の私である。

 レイヤーの時の私に一目惚れする男子は、
つまり私の外見に惚れたということになる。

 それ自体は否定しない。私は見(魅)せるために
自分の外見を磨く努力を続けているのだから。

 でも、今の私はおさげにすっぴんで、
前髪で顔を隠しているような地味っ子。

 先日まで、カイ大佐は普通に対応してくれたけど、
ボタンを直してあげた後の彼は、多分だけど、
この地味っ子な私に惚れている可能性が高い。

 つまり、外見ではなく内面を高く評価されたのだ。

 私としては下心ありきのコンタクトだったのに、
まさかこんなに効果があるとは思いもよらなかった。

 でも、考えてみれば裁縫が得意という家庭的な雰囲気や
一歩引き男を立てる大和撫子と見られたのかもしれない。

 長身、イケメンで体格も理想的なソフトマッチョ。
短髪で清潔感があり、知的なインテリメガネも似合う。
はっきり言えば、メチャクチャ女性ウケする外見だ。

 だからてっきり女子には慣れていると思ったのに、
どうやら彼は、女子が苦手な体質までカイみたいだった。

(こりゃカイ大佐をデジカメで撮るのに苦労するかも)

 私は無理にコンタクトをとらず、
今日は普通に本を返却するだけにした。

 彼はどう見ても一般人だから、私を深く知られるのが怖い。

 私が一番怖いのは、最初は好印象をもたれていたのに、
オタクだという理由だけで、手のひらを返したように
嫌われ、拒絶されることである。コレだけは耐えれない。

 だから、レイヤーの時は自分の魅力をさらけ出すけど、
普段の日常では目立たないように地味っ子を演じている。

 私だって人間だから、失敗もするし、
ダメなところや、だらしの無いところだってある。

 でも、そんな私でも幻滅せずに受け入れてくれるような
圧倒的な包容力、優しさや心の広さにとても魅力を感じる。

 私はオタクだ。しかもレイヤーまでやってる。

 イベントに来るようなオタクなら、私に対して
偏見をもたれることも無いので、自分をさらけ出せる。

 でも一般人のなかには私みたいなオタクに対して
オタクというだけで偏見を持っている人が居る。

 カイ大佐がどんな人なのかは、私は知らない。
ただ、女子を内面で評価できるのには感心できる。

(さて、どうしたものかしらね……)

 私はモヤモヤと思案しながら、今日も自分を磨くため
薬局へ向かい、スキンケアやヘアケアのアイテムや
エクササイズのアイテムをチェックしに向かった。




// To be continued


あとがき


どうもたつにいです。最初なのでキャラのイメージ等を
つかみやすくする為、かなり長めに投稿しました。

特に人間関係に重点をおいて執筆しました。

普通の恋に、同姓に対する恋。ちょっと普通とは違う趣味。
いろんな思考と関係がぐるぐる回るような三角関係を
お話のベースにしちゃいました(笑)

正直、この先の展開は僕だって予想が付きません。

だから、物語がどのように展開していくのか、
僕自身も非常に楽しみです。


第二話へ進む 神村サイトさん

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